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コロナ禍における日本語教育の変化

2020年度は、コロナウイルスの感染拡大から、留学生の入国制限がされるなど、日本語を学ぶ機会が制限されました。この記事では、コロナ禍における日本語教育の変化について 日本語教育営業部 通信教育 遠藤 勇也ジュニアマネージャーにオンライン教育の観点でお伺いした内容をご紹介いたします。

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2019年12月に最初の感染者が確認されて以降、世界規模でのパンデミックに発展したコロナウイルス感染。ヒトの往来が関わる観光業界、宿泊業界をはじめ、2020年の新語・流行語大賞にも選出された「3密」が発生しやすい小売業界や飲食業界も大きな影響を受けました。日本語教育業界における最も顕著な影響を挙げるとすれば、留学生の入国制限、また緊急事態宣言による休校措置ではないでしょうか。

2017年に文化庁が発表した、国内の日本語学習者に占める留学生(私費・国費合計)の割合は63.0%。入国予定であった留学生も含めると、多くの学習者が、日本国内の教室環境で日本語を学ぶ機会をなんらかの形で制限された事になります。ただし、『ホモサピエンス全史』で知られる歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏も述べる通り、人類史のスケールで今回のコロナ禍を見たときに、『十分に乗り越えることが可能な危機』だとすれば、この学習機会の制限は一過性のものと考えてよいのではないでしょうか。

むしろ、今回のコロナ禍がもたらしたポジティブな影響として、これまでオフラインをベースに教育を提供してきた教育機関が、以前より顕在化していた「オンライン学習の発展・進化」という潮流に向き合い、合流するきっかけが生まれた事に着目するべきでしょう。

「オンライン教育の発展・進化」の歴史は、1960年代にイリノイ大学で開発されたコンピューターベースの学習システム『PLATO』の誕生にはじまり、1970年代以降の電話、テレビ、ラジオを活用した通信教育の発展を経て、1990年代にWorld Wide Web (WWW)によるインターネット接続が一般化したことにより、現代のオンライン学習の源流と呼べるサービスが数多く誕生いたしました。

2010年代以降は、iPhoneAndroid端末に代表されるスマートフォンの普及により、Duolingoをはじめとする、スマートフォンアプリで学習できるサービスも急速に広まっている。このようなオンラインを起点とした学習サービスで着目するべき点の一つは、AIの機械学習等によって学習者の学習データを蓄積・分析し、カリキュラムを最適化できる点ではないでしょうか。

この技術的なハードルを、オフラインベースで教育の提供を行ってきた教育事業者や教育機関が超える事は容易ではないです。むしろ、クラスルームというリアルな学習空間を持つ強みを活かし、それをデジタルのプラットフォーム(この場合はスマートフォンアプリ等ではなく、Zoom等のウェブカンファレンスシステム上で学習者と講師が同時接続し授業を行うような形)で再現する方向性が望ましいと考えます。具体的には、アクティブラーニングや協働学習に代表されるような、クラスルームでの教育提供で培われてきた教育メソッドをデジタル空間で再現できた時に、独自の価値提供が実現できるのではないでしょうか。その実現に向けた課題発見と解決が、まさに今教育の現場で行われています。

インターネットやスマートフォンアプリでの学習は手軽に始められる事から、日本のサブカルチャーや伝統文化への興味をきっかけに言語学習を始める"ライト層"と、より相性が良いとされます。そのようなライト層の学習者がやがて学習を進める中で言語能力が上達し、より具体的な学習動機(就職、留学)に切り替わった際、対象言語の「本場」である日本国内において、学校や教室といったリアル空間での学習を提供できるオンラインサービスは多くないです。ヒューマンアカデミーでも、Zoomアカウントさえ取得すれば簡単に世界中から参加できるプライベートレッスンやグループレッスン、自学習用のe-learningコンテンツを数多く取り揃えたECサイトなど、多様な形態でオンライン学習の機会を提供しています。望むべくは、そのようなオンライン学習サービスが日本語学習のきっかけとなり、その後来日した際には、リアル空間であるクラスルームの授業を通して日本語を上達させ、言語習得のその先の未来まで見届けられるサービスを提供していきたいと思っています。

※事業部・役職名は2021126日現在になります。

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