日本語教育
日本の文化を伝えたい!「折り紙」の歴史・魅力に迫る
日本の伝統文化として有名な「折り紙」。そんな折り紙は現在、親子間のコミュニケーションツールになったり脳を鍛えられたりすることで、世界中で大人気となっています。そこでこの記事では、折り紙の歴史や魅力について解説します。
海外では教育にも利用!日本独自の遊び「折り紙」
はじめに、世界の折り紙事情についてご紹介します。折り紙は日本独自の遊びですが、最近では海外の教育現場でも利用されていることをご存じでしょうか。
日本人なら、ほとんどの人が小さい頃に親しんでいた折り紙ですが、成長するにしたがって、あまり折り紙に触れなくなってしまったという人も多いかもしれません。しかし海外では、子どもから大人まで、幅広い世代でブームになっています。
世界各国に折り紙愛好団体がある
アメリカ・ニューヨークにある「Origami USA」は、世界19カ国に1,600人以上のメンバーがいる折り紙愛好団体です。この団体は「アメリカ自然史博物館」にて折り紙に関する書籍を多数所有し、世界最大級の折り紙ライブラリーを管理しています。また、未発表である数百の折り紙図表も保管しているのです。
Origami USAは、折り紙で遊ぶ喜びを様々な人と分かち合い、コミュニケーションを図っていくことで、人々の成長を育むことをミッションとしています。そのため、折り紙のワークショップや年次大会などを定期的に開催し、折り紙の素晴らしさを世界に伝える役目を担っているわけです。
こうした折り紙愛好団体はOrigami USAだけではありません。アメリカ以外にも、イギリス、スペイン、イタリア、韓国、中国、ブラジル、ドイツ、コロンビアなど、世界各国に存在します。アメリカでは、思考力を養うアイテムとして教育にも取り入れられている。
折り紙は、様々な知育効果があるとされています。実際、折り紙愛好団体があるアメリカでは思考力を養うためのアイテムとして、教育現場でも積極的に取り入れられています。
例えば、作品のレベルが上がるほどに折り目も複雑になっていくため「集中力」や「思考力」が高まります。その結果、できあがりを想像する力が身につき、「空間把握能力」や「数学力」のアップにもつながるのです。
また、広いスペースも必要なく、比較的安価な費用で始められることから、誰でも挑戦しやすい知育アイテムだといえます。
折り紙の歴史
次に、折り紙の歴史についてご説明します。
和紙の誕生
そもそも日本に「紙」がやってきたのは奈良時代頃のことでした。大陸から紙の製法が伝わり、そこから日本人の創意工夫が施されて「薄くて丈夫な和紙」が誕生したのです。その頃の和紙は記録用紙として使われていました。高級でもあった和紙はその白さから「清浄」をイメージする人も多く、「神様への供物を包む紙」としても使用されるようになります。
そして供物を和紙で包む際に折り目がつくことに着目し、包み紙をきれいに折る「儀礼折」が誕生しました。
儀礼折とは
「儀礼折」とは紙包みの礼法で、儀礼折り紙とも呼ばれています。現代でも改まった贈り物をする際に付ける「のし紙」が残っていますね。儀礼折が生まれたのは室町時代のことで、武家独自の礼法として定められていました。これには家元があり、有名なのは「今川」や「伊勢」です。
この頃の折り紙は儀礼折り紙のほかに「遊戯折り紙」もあります。その名前の通り「遊びの折り紙」のことで、有名な作品である「やっこさん」や「鶴」などはすでに室町時代からあったようです。ただし現代とは異なり、和紙は高級品であったため、一部の裕福な人々の間だけの遊びでした。
その後江戸時代に入ると、和紙の生産技術が向上し大量生産が可能となります。これまで高級品だった和紙を、一般庶民も安く手に入れることができるようなりました。そしてますます遊戯折り紙が発達していきます。
また19世紀頃まで、日本とは別にヨーロッパでも独自に折り紙文化が完成していました。そして明治以降、ヨーロッパにあった文化が日本と合わさって、現代の折り紙になったと考えられます。
世界中の人々を魅了する折り紙の魅力とは
最後に、折り紙の魅力についてご紹介します。
紙一枚で幅広く遊べる
折り紙は、ハサミで紙を切らず「折るだけで」様々な遊び方を楽しめます。例えば、紙飛行機を作って飛ばすことや紙風船で遊ぶこと、折り鶴を作るなどです。ただ折るだけで遊べるため、小さな子どもから高齢者まで多くの人が折り紙で遊べます。
脳を鍛えられる
先にもご説明した通り、折り紙は折り方を考えながら進める必要があるため「集中力」「理解力」「発想力」などを高められます。
具体的には、指先を動かすことで「前頭葉」が鍛えられ、折り紙の形やバランスを理解することで「側頭葉」が活性化されるのです。こうしたことから、子どもの知育だけにとどまらず、高齢者の老化防止にもつなげられます。
コミュニケーションツールになる
折り紙は、親子間や外国人とのコミュニケーションツールにもなります。例えば、親子で一緒に折り紙を折ることで会話が増えて絆が深まります。また、外国人にとって折り紙は興味深いものとなるため、話のきっかけにもなりやすいのです。
このように、たった1枚の紙で他人と意思疎通が図れる折り紙は、私たち人間にとって重要なアイテムだといえるでしょう。
まとめ
日本独自の文化だと思っていた折り紙は、実は世界中から注目 されています。折り紙はただ遊ぶだけで脳が鍛えられたり、他人とコミュニケーションを図れたりと、良いことばかりです。 身近に小さな子どもや高齢者がいる人は、ぜひ折り紙で一緒に遊んでみてください。きっと会話が弾み、深い絆で結ばれることでしょう。
ヒューマンアカデミー日本語学校の取組み
観光庁は、2030年までに訪日外国人観光客を6,000万人に増やすという目標を掲げています。ヒューマンアカデミー日本語学校は、日本語学習の提供に加え、地域に根ざした日本文化体験をテーマにしたイベントを実施します。これにより日本文化の理解を深めるだけではなく、地域社会における多文化共生に、地域とそこに住む外国人との相互理解という新たな価値を提供することを目指しています。
本年は、7月に着付け、8月に和菓子作り、以降は茶道や和食作り、フルーツ狩り、日本庭園・お花見を計画しています。
この記事は、「にほんご日和」に掲載された記事をKARUTAにて一部再編集しています。当サイトの内容、テキスト、画像、イラストなど無断転載・無断使用を固く禁じます。