日本語教育
カタールの正装「トーブ」に包まれた修了式 ヒューマンアカデミー日本語学校サマープログラム2026レポート
1985年の創業以来、ヒューマンアカデミーが長年にわたり培ってきた教育のノウハウは、国境を越えて広がりを見せています。3年目を迎えたこの夏もヒューマンアカデミー日本語学校東京校では、昨年に引き続きカタールから高校生たちを迎えてサマープログラムを開催しました。28日間の学びと交流を通して、彼らが感じ、つかんだものとは?
2026年7月28日(火)に横浜・みなとみらいで開催された修了式の模様と現場の声をお届けします。

28日間の集大成!成果発表と修了式
中東・北アフリカ地域からの留学生受け入れを促進する『J-MENAプロジェクト』の一環としてカタール教育省から受託し、15〜17歳の高校生10名と引率者3名を迎えた今回のサマープログラム。午前中の日本語レッスンから午後の文化体験まで、計60時間(1か月)の集中カリキュラムに取り組んだ彼らが最終日に見せたのは、来日直後の緊張からは想像もつかないほど堂々とした姿でした。 修了式の会場となったTKPみなとみらいカンファレンスセンターは、受講生やスタッフ全員が身にまとったカタールの正装「トーブ」で華やかに彩られました。

成長を証明する、堂々の日本語プレゼンテーション
まずは成果発表会。「ペアで話そう」をテーマに、ハンバーガーショップやコンビニエンスストアなど授業で繰り返し練習してきた実践的な場面会話を堂々と披露しました。
続いて、「日本の思い出」のプレゼンテーションでは、滞在中に訪れた箱根や浅草、渋谷などで撮影したお気に入りの写真とともに、それぞれがお気に入りの場所や物について、すべて日本語で一人ずつスピーチしました。試行錯誤しながら覚えた日本語で「日本の人の温かさ」や「将来の夢」をまっすぐに語る姿に、担当講師やご来賓など、会場全体から拍手が送られました。


誇らしげな笑顔とともに未来へのエールも
修了式では、ご来賓や宮川隆史校長、引率者、担当教員が見守る中、一人ひとりに修了証書が手渡され、学生たちは誇らしげな表情で感謝の言葉を述べました。 心のこもった記念品贈呈に続き、最後は「明日カタールへ帰国される皆さんが無事に帰られますように」という温かい閉会の挨拶で締めくくられ、28日間の努力を互いに称え合いました。


運営・現場スタッフが語る「生の声」(インタビュー)
「1か月間、元気に、前向きに明るくプログラムに取り組んでいただけた」
ヒューマンアカデミー日本語学校 スタッフ:遠藤勇也さん

「3年目となる今回は、過去の経験を活かしてよりスムーズで実践的なプログラムを実現できました。1か月間、元気に、前向きに明るくプログラムに取り組んでいただけたと考えています。
日本語の授業は週4日、1日3時間、限られた時間で実践的に日本語を使えるように『場面会話』を中心に行いました。まだ日本語をマスターするところまではいっていないと思いますが、これから日本語を勉強するきっかけにはなったかなと思いますので、帰国してからも日本語の学習を続けていただけたらと応援しています。
海外からのインバウンドの旅行客であったり、留学生の数であったり、お仕事をされる外国籍の方であったりは過去最高の人数を記録しているものの、中東地域からの留学生は国内でもまだ多くありません。だからこそ、彼らが母国で『日本での経験』や『日本語を学ぶことの楽しさ』を広め、未来の架け橋になってくれることを期待しています」
「何も見ずに日本語で立派にスピーチしている姿に大きな成長を感じました」
日本語の授業を担当した清水絵理子先生

「テキストを使った会話の授業から始まり、発音や文字の練習をしました。また、カードを使ってゲームを楽しみながら日本語に触れる授業なども行いました。 印象に残っているのは、ひらがなカードを使って素早く言葉を作るゲームです。楽しみながら日本語に触れてもらいました。皆さんとても前向きで、競い合いながら工夫して学んでくれた姿が印象的です。成長を感じたのは、今日の発表会です。練習の時は、今まで学習した日本語をテキストを見ながら書いて練習してという場面を見てきたので、何も見ずに立派にスピーチしていて、本当に大きな成長を感じました。 帰国後も、日本で勉強したことを『楽しかったな』といつまでも良い思い出として持っていてくれたら嬉しいですし、日本語を学ぶことを忘れないで大切に思い続けてくれたら嬉しいなと思います。」
「最初は単語だけだったのが『私は学生です』のように文で話せるようになりました」
日本語の授業を担当した佐藤幸子先生

「最初の授業から皆さんとても積極的で、ほとんど日本語がわからなかったと思うんですが、なんとか通じるように一生懸命話してくれました。数の練習をした時も、食い入るように問題を見て全員が手を挙げるほど活発でした。
最初は単語だけだったのが『私は学生です』とか『私は16歳です』とか文で話せるようになり、今日も見事なプレゼンを見せてくれて成長を感じました。
せっかくご縁があって日本に来て勉強できたので、カタールに帰っても、少しでも日本語の勉強を続けてもらってもう一度日本に戻ってきてくれたら嬉しいなと思っています。」
5人の学生たちが教えてくれた「日本でつかんだ手応え」(学生インタビュー)
「日本の自然と人の温かさに感動した」(フェイサーマリーさん・17歳)

「素晴らしい滞在でした。日本の気候や自然はもちろん、何より人の温かさに感動しました。何かをお願いした時も「できない」とか「わからない」とは言わず、すぐに手を貸して助けてくれる人ばかりでした。先生たちと遊園地やテーマパーク、観光地などいろいろな場所へ出かけたことが一番の思い出。将来はエンジニアになるために日本の大学で学びたいです。」
「帰国しても日本語を学び続けて、また日本に留学したい」(最優秀学生に選ばれたアブダンラさん・16歳)
※最優秀学生は、テストの成績だけでなく、授業への取り組み姿勢など総合的に見て、教師全員で話し合い決定しました

「周りの人たちはとても親切で礼儀正しく、尊敬していました。博物館や遊園地、水族館などに出かけたことや日本語を学んで新しいことを知ることができたのがとても楽しかったです。
アラビア語と日本語で似ている点もいくつかありましたが、特に会話に重点を置いて勉強する必要があると思いました。
帰国しても日本語を学び続けて、卒業して奨学金などがもらえたら、ぜひまた日本に留学したいと思っています。
「学びとして滞在できたからこその発見」(フェイサーラシッドさん・16歳)

「サマーキャンプは本当に最高で、もう一度最初から繰り返したいほどです。言葉や文化を自分から探求していく過程がとても楽しかったです。 以前家族旅行で来たのでいろいろな場所を巡るだけでしたが、言語の勉強を通して日本を知ることでたくさんの発見がありました。将来はカタールの高校で日本語の先生になりたいです」
「毎朝の電車通学もワクワク」(アリさん・15歳)

「最初は文字や文法を覚えるのが大変でしたが、優しく教えてくれる先生のおかげでどんどん楽しくなりました。毎朝電車に乗って学校に通う時間すら新鮮で。アニメや日本のサッカーがきっかけで興味を持った日本ですが、文化の魅力にすっかりハマりました。 語学力をさらに伸ばして、日本の大学に留学したいと思っています。将来は外交官になりたいです。」
「自分の可能性が大きく広がった」(サルタンさん・15歳)

「日本の文化や日本語、さまざまなスキルを学べて、自分自身の能力が大きく高まった実感があります。日本の美しさと規律正しさ(マナーの良さ)が一番印象に残っています。皆さんしっかりしていて、周りの人への接し方もとても真面目です。
日本に来る前から日本の桜や車、テレビで見たきれいな景色に興味がありました。
帰国後も日本語を忘れないように努力して勉強を続けて、将来はエンジニアになりたいです。」
引率したマフムード先生が語る「現場の声」(インタビュー)
「国境を越える教育の絆。3年目の確信とさらなる期待」

引率代表・マフムード先生
Q.サマースクールを通した生徒たちの成長について
A.「実生活で日本語を使い、コミュニケーションが取れたことが大きな成長です」
生徒たちはカタールでも高校2年生から日本語を選択科目として勉強しています。滞在期間は長くありませんでしたが、日本に来てサマーキャンプを体験し、実際に日本語を使って周りの人とコミュニケーションが取れたことは、彼らにとって非常に素晴らしい経験になったと思います。
Q.特に印象に残っているプログラムは?
A. 「平日しっかり学び、週末に文化や遊びを体験するメリハリが効果的でした」
勉強と課外活動の両方を楽しめたのがとても良かったです。平日にはしっかり勉強し、週末にはいろいろな場所へ行って、文化体験や遊びを交えられたことが非常に効果的でした。
Q.生徒たちの将来や、日本留学への期待について
A. 「10年の成果実り、母国から日本への留学ルートが着実に広がっています」
ほとんどの生徒が工学部などの理系や、留学に強い語学部・政治学科を目指しています。教育省の奨学金制度を利用して、日本の大学へ留学できる生徒が増えることを期待しています。実際に過去に指導した生徒の中には、現在日本の大学に留学している学生が5〜6人以上います。カタールは人口が少ない国ですので、この数字は非常に大きな意味を持っています。カタールで10年以上日本語を教えてきた成果として、日本に留学する生徒が今後もどんどん増えていけば嬉しいです。
Q.カタールでの「日本語・日本文化」の人気について
A. 「アニメやポケモンが大人気!私より詳しい生徒もいるほどです(笑)」
アニメやゲームの影響で最近は特に日本語の人気が高まっています。特にアニメはテレビやインターネットで多くの若者が観ていて、私よりも詳しいくらいです(笑)。ポケモンなども大人気ですね。アニメから言葉を覚えて日本語に興味を持ち、学校で日本語を選択する生徒が増えています。
Q.ヒューマンアカデミーの教育に対するご評価・ご要望
A. 「優秀な講師陣に感謝。今後は街中での実践課題(動画撮影等)も期待したいです」
講師の先生方は皆さん非常に優秀で素晴らしく、大変感謝しています。私自身も日本語教員ですので、授業の進め方やゲームを取り入れた教え方はとても勉強になりました。 あえて1つ要望を挙げるとすれば、もう少し宿題や課題(ワークシート)を出して厳しく指導しても良いかもしれません。例えば、授業で習った表現をホテルや街中で実際に使わせて録音・録画してきてもらうような、実践的なアクティビティ課題があれば、生徒たちの発話機会がさらに増えて学習効果が高まると思います。とはいえ、今回のプログラムも実践的で大変素晴らしかったです。
教育の力で、世界と「なりたい自分」をつなぐ
ヒューマンアカデミーは、教育を通じて人々の夢を育み、未来を創造する企業です。今回のような国際的なプログラムの成功は、教育の可能性を改めて教えてくれました。単に日本語を教えるだけでなく、国境を越えたつながりの中で、若者たちの「なりたい自分」を後押ししていくこと。ヒューマンアカデミーはこれからも、質の高い教育プログラムを通してグローバルな挑戦を続けていきます。
ヒューマンアカデミー日本語学校東京校
住所:東京都新宿区高田馬場4丁目9-9 早稲田予備校13時ホール5F
アクセス:JR山手線、東西線、西武新宿線「高田馬場」駅
URL: https://hajl.athuman.com/guide/tokyo/
レポート 牛島奈津子
フリーアナウンサー 元NHK長崎放送局、サガテレビアナウンサー、宮崎サンシャインFMパーソナリティ
インタビューが得意で、ライターとしても活動。
保育士でもあり、都内の保育園に勤務している。
