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専門校教育

~日本人初の民間科学宇宙飛行士候補生に~ ヒューマン国際大学機構からの留学がきっかけで航空宇宙分野へ

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民間科学宇宙飛行士候補生(Citizen-Scientist Astronaut Candidate)
豊見山 辰成さん

Profile
豊見山 辰成(とみやま たつなり)さん
高校卒業後、東京農業大学に1年間在籍し、2010年にヒューマン国際大学機構(HIUC)海外大学編入科に入学。卒業後は、ニューヨーク州立大学デルハイ校に進み、ロチェスター大学へ編入し学士を取得後、2016年にフロリダ工科大学大学院 修士号 航空学部 航空人間工学科に入学。2018年の卒業後には、国際宇宙大学のSpace Studies Program(スペース・スタディーズ・プログラム:SSP)にも参加。現在は、民間科学宇宙飛行士候補生(Citizen-Scientist Astronaut Candidate※)として様々なリサーチに携わっている。

※民間科学宇宙飛行士候補生(Citizen-Scientist Astronaut Candidate)とは:
米国議会が定義する"市民科学"(Citizen Science)に則った民間宇宙開発の計画に参加する候補生であり、科学実証任務の他、宇宙飛行士の訓練も行なう。訓練課程はNASAの監修下で行われており、飛行試験にも参加可能。

日本人として初めて、民間科学宇宙飛行士候補生に選出された豊見山 辰成さん。現在は、有人弾道飛行における地球の極大気の観測・分析や、民間計画に向けた宇宙服の試験評価などに携わっています。民間科学宇宙飛行士候補生になるまでの課程には、ヒューマン国際大学機構(HIUC)での学びがありました。

「自己解決能力」を育んだHIUCでの日々

もともと海外大学への進学に興味は持っていましたが、途中で心変わりする可能性もあったため、当初は国内の大学に1年間在籍していました。しかし気持ちが変わらなかったため、在籍していた大学を中退してHIUCの編入科に入学しました。

海外大学に進学するにあたっては、英語力だけではなく、最低限のアカデミックスキルが必要なことは当時から感じていました。苦手な英語を克服するために、オールイングリッシュでの授業や、大学で適切な学業成績を維持するための「技術」であるカレッジスキルを学べること、手続きの全面サポートがついていることも、HIUCに進学する決め手となりました。

HIUCでの一番の学びは、「自己解決能力」が身に付いたこと。相手から教えてもらうことを待つのではなく、自ら聞いて解決していく、ということです。海外では特に、分からないところや疑問点があれば、自分で質問に行かなければ誰も面倒を見てくれません。何か問題や疑問が生じた時にも、待つのではなく自ら行動して考え、答えを出すことが必要でした。こうして自分でどうにかしようとする中で、アイデアが出せるようになります。

例えば、仕事でリサーチをしていて何か問題が発生した時に、原因として機器に問題があることは結構あります。しかし機器をすぐに付け替えたりすることができない場合、どのようなデータが必要なのかを自ら考え判断して、データを取得していきます。
このような訓練をHIUC在籍時から行なう中で、自己解決能力を育むことができました。これは仕事だけではなく人生においても必要な素養であり、現在にも生かすことができていると思います。

民間科学宇宙飛行士候補生になるまで

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▲HIUCから海外大学を経て、民間科学宇宙飛行士候補生に

HIUCで6カ月間学んだ後、まずはニューヨーク州立大学デルハイ校へ進学しました。その後、ロチェスター大学へ編入して学士を取得し、Optional Practical Training(オプショナル・プラクティカル・トレーニング:OPT※)を1年間経験して、フロリダ工科大学に進みます。

フロリダ工科大学を卒業後は、宇宙関連分野で活躍する人材を育成するための国際的な高等教育機関である、国際宇宙大学のSpace Studies Program(スペース・スタディーズ・プログラム:SSP)に参加。SSPでは宇宙関連分野での幅広い知識を習得するものの、SSPを受けただけでは民間科学宇宙飛行士になることはできません。ですから、学士を取得した生物学でのOPTが修了し、フロリダ工科大学を卒業した段階で、民間科学宇宙飛行士候補生の基礎訓練の募集枠に応募したのです。

応募にあたっては現状、試験はなく、書類のみの選考です。候補生といっても、国の所属ではなく、民間計画の手助けのひとつとして成り立っています。ですので、どちらかというと教育的な意味合いの方が強く、いわゆる教育のひとつという位置づけです。そのため、書類選考後、レジュメなどの確認とバックグラウンドチェックなどを行って、最終決定が出るのです。

※OPTとは:学生ビザ(F-1)で在学している留学生が、専攻した分野と関連のある業種で就労することができる制度のこと。

航空宇宙を専攻したのは、宇宙飛行士になりたいわけではなかった

私の場合、最初から「宇宙飛行士になりたい」と思ったわけではなく、研究やリサーチに参加したいということが一番のきっかけです。元々、人体に興味があり、実験や研究は好きでした。2014年のロチェスター大学在籍期間中に参加した、クリーブランドクリニックでの医学研修で、人間の処理限界に興味を持ちました。この研修プログラムは、数少ない海外生の受け入れを許可している公募制のプログラムで、アメリカ国内だけではなく、世界各国から生徒が参加するものです。

その後、医療系や生物学系の中の、航空宇宙医学を授業で一通り学ぶ機会があり、本格的に取り組みたいと思うようになりました。当時は、この専門は原子力か航空宇宙に限られてしまっていたので、航空宇宙を選択したというのが理由です。

留学を希望している学生のみなさんへ

留学は様々な価値観、考えを留学生自身に与えてくれると同時に、世界の厳しさと広さを教えてくれる良い機会でもあります。

場合によっては今までの価値観を捨てなければならない時もあり得ますし、国の関係上、できないことは思ったよりも多いです。ただ、日本にいるより挑戦する機会が多いので、自分のやりたいこと、日本でできないことに挑戦する一歩を踏み出すきっかけになると思います。

また、自分自身がやりたいと思うことをどうやって実現していくかを考え、具体的な行動に落とし込むことも必要だと思っています。結局、周りの人が言っているから正しいというのではなく、自分自身がどうしたいのかを明確にしていくことです。

私自身は、将来的には宇宙飛行士として搭乗するのはもちろんのこと、情報の起点としてできる限り長く研究に参加していきたいと考えています。

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▲これからもできる限り長く研究に携わっていきたい

<ヒューマン国際大学機構(HIUC)>
1990年開校以来、ニューヨーク州立大学との学術提携を基盤に、海外大学留学準備機関として世界約130校の大学と提携。これまでに約5,000名以上(2018年8月時点)の留学実績があります。少人数クラスの授業体制と定期的な個別カウンセリングにより、海外大学志望校決定から、学部・学科選択の指導、志望校への出願手続き、ビザ取得手続き、留学に向けての保護者オリエンテーションも行ないます。

※ヒューマン国際大学機構のウェブサイトはこちら:https://hiuc.athuman.com/

※航空宇宙分野では、米国政府による技術輸出制限(国際武器取引輸出規則、ITAR)があるため、留学後の就職や技術習得にかなりの制限がかかります。

※2019年3月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。肩書き・役職等は取材時のものとなります。

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