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リカレント教育

リモート授業でも仲間はつくれる! 雑談不足を解消する"オンライン放課後"って何?

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教室内で立ち話をするような感覚での、気軽な雑談が増えにくいのがオンライン授業の弱点。ヒューマンアカデミーが運営するとある講座では、完全リモートでの授業を行っているため、授業後に学生たちがオンライン上に居残り、自由に過ごせる"オンライン放課後"の時間をつくることで、コミュニケーションや仲間づくりに役立てています。実際の取り組みの様子や、オンラインで上手に交流するためのポイントなどを取材しました!

目次
■リモートならむしろ場所や時間を気にせず交流できる
■"双方向のやり取り"で貴重な知識や経験を共有する
■コミュニケーションから生まれる絆が人生の資産に

リモートならむしろ場所や時間を気にせず交流できる

コロナ禍を経て広がる「オンライン授業」。ヒューマンアカデミーでも、多くの講座をオンラインで開講しています。

オンライン授業には、時間や場所の制約を受けずに学べるという抜群のメリットがあります。が、一方で「講師やクラスメートとの日常会話や雑談の機会が少ない」「友人や仲間をつくりにくく、孤独や疎外感を感じる」――といった課題も生じやすいようです。

講師や学生間のコミュニケーションを増やす方法として注目されているのが、授業以外のちょっとしたやりとりのための時間をみんなでつくる "オンライン放課後" です。

実際に、ヒューマンアカデミーが日本で運営する英国国立ウェールズ大学トリニティセントデイビッド(以下、UWTSD) のMBA(経営学修士)プログラムでは、授業後などに有志が集まり、交流するための時間を設けているそうです。オンライン上の放課後では、一体どんなやりとりが交わされているのでしょうか。

ー星野さん「講師の先生に授業についてのちょっとした質問をしたり、学生同士で勉強法について話したり、純粋に雑談をしたり、様々です。グループワークのために、個別の勉強会で課題を話し合ったりする場合もあります」

授業後にわざわざ集まるというよりも、そのままみんなで居残るかたちでスタートしたそう。それ以外にも、授業外の交流が活発に行われているそうです。

ー野見さん「提出前のレポートについてアドバイスしあったり、選択授業の情報を共有したり、お互いに学習をサポートしあうこともあります。例えば、私は金融関係の仕事をしていますので、ファイナンスの授業の際にはクラスメートからの予習の相談に乗ったりしていました」

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(写真右)英国国立ウェールズ大学トリニティセントデイビッド MBAプログラム31期生 星野舞子さん(写真左)同32期生 野見孝行さん
関連リンク:英国国立ウェールズ大学トリニティセントデイビッド MBAプログラム

ビジネスリーダーのための実践的な知識を学ぶMBA。様々な知識や経験を持つ、幅広い年齢層の学生が集まるため、それぞれの得意分野に応じて、課題を教えあったりすることが多いよう。学習にもコミュニケーションにも、学生同士で声を掛け合ってリモート勉強会を開いたり、SNSのグループ上で質問を投げ合ったり、ドライブで資料やレポートを共有するなど、あらゆるツールを駆使して、お互いが積極的に取り組んでいるそうです。

ー野見さん「我々のクラスはコロナ禍で通学できない前提でスタートしましたが、オンラインツールを活用することで、そのハンデを補完しています。むしろ、どんな場所にいても、オンライン上で24時間365日クラスメートの誰かから支援を受けることができます。自主的な学びを推奨するMBAプログラムの高い意識と、オンライン学習という手法がうまくかみ合っていると感じています」

ー星野さん「勉強を進める上で、同期のメンバーとのコミュニケーションには本当に助けられています。ただし、放課後も勉強会も参加は任意で、それぞれ忙しい時には『今日は耳だけ参加します』ということもあります。緊急事態宣言中はできませんでしたが、少人数がリアルで実際に集まることなどもありました」

「好奇心旺盛で多様な学生が集まっているので、LINEなどでのちょっとした雑談も楽しく、よい刺激を受けています」と星野さん。野見さんも「今夜、同期のメンバーでzoom飲み会をする予定なので、楽しみにしています(笑)」と教えてくれました。

オンラインが中心の講座でも、仲間づくりや交流は充分に叶うよう。住む場所や、生活スタイルに縛られずにサポートしあい、交流できるという点では、オフラインよりむしろオンラインにアドバンテージがあるようです。

スクリーンショット 2021-12-04 17.13.00のコピー.pngヒューマンアカデミー ウェールズ大学トリニティセントデイビッドMBAプログラム事務局の松坂哲史さん。「事務局への質問や要望なども、オンラインで受け付けています。対面より聞きやすく、リアルタイムなやり取りよりも時間や手間がかからないと好評です」

"双方向のやり取り"で貴重な知識や経験を共有する

立教大学副総長でリーダーシップ論や人材マネジメント論を研究し、UWTSD MBAプログラムの組織及びHRマネジメントの担当講師である石川 淳先生も「授業を進める上でも、雑談などを含めた積極的なコミュニケーションが必要」と解説してくれました。

ー石川先生「極端な話、講師から学生に知識を伝えるだけなら、オンデマンド授業でも可能です。しかし、活きた学びには双方向のやり取りが不可欠です。話しやすく聞きやすい雰囲気をつくるためにも、"オンライン放課後"のような取り組みはとても役に立つと思います」

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◆ 立教大学 経営学部 大学院経営学研究科 石川 淳(いしかわ•じゅん)教授
立教大学統括副総長、立教学院常務理事。慶応義塾大学法学部政治学科卒。慶応義塾大学経営管理研究科修士課程修了、同博士課程修了。博士(経営学)。山梨学院大学、米国・オレゴン大学客員研究員を経て現職。2014-2017年に立教大学経営学部長。専門分野は組織行動論、リーダーシップ論。著書に『シェアド・リーダーシップ』(単著)、『グローバル研究開発人材の育成とマネジメント』中央経済社(分担執筆)など多数

ただ、直接会ったときに感じられるような雰囲気やキャラはどうしても伝わりにくいため、「オンライン上では、とりわけ本音での発言を心がけることが、コミュニケーションを育てるポイントになってくる」と石川先生は言います。

ー石川先生「とくにMBAでは、講義やレポートだけではなく『仕事でこんな失敗をしたが、こう解決した』『過去にこんな事業を開発したことがある』といった、学生自身の経験話も大きな糧になります。年齢や立場の違う、利害関係のない相手の考え方や意見を聞ける、貴重な機会にもなり得るでしょう。

しかし、これはオフラインでも同様ですが――、普段からオープンに話し合ってメンバー同士の信頼感を紡いでおかなければ、話はなかなか広がっていきません」

「この場では、自分のことを話しても大丈夫だ」という心理的な安全性が担保されているかどうかは、授業の満足度などにも関係してくるのだと石川先生は言います。

ー石川先生「私も自分のほうから学生にちょっとした雑談をふったり、愚痴を聞いてもらったりすることがあります(笑)。純粋に学生とのコミュニケーションが楽しいですし、そこをきっかけに、『些細なことや個人的なことを話してもいいんだな』と感じてもらいたいという狙いもありますね」

確かに、講師の先生が率先して自分の話をしてくれたら、全体の空気がぐっと軽くなりそうです。学生は、そこに "乗っかる" 形で自己開示していくのも、一つの方法かもしれません。

ほかにも、「まず簡単な質問にチャットで返してもらい、対話の糸口をつかむ」「まず少人数でのディスカッションを行ってから、全体での議論に入る」「伝え方やリアクションはオフラインより少しオーバーにする(3割増しを心がける)」など、オンライン上でのやりとりを最大化しながら相互理解を深めるために、石川先生は授業に様々な工夫を取り入れているそうです。

iStock-1285491060.jpgオンライン学習でも、数カ月過ぎればお互いの人柄がつかめてくる。初対面同士や、人見知りの人が交流をするには、むしろオンラインのほうが話しやすいというケースもありそうだ

コミュニケーションから生まれる絆が人生の資産に

ー石川先生「オンラインが中心でも、授業はもちろん、放課後、勉強会、飲み会などにはなるべく積極的な参加を薦めたいですね。"ネットワークを自分でつくる" くらいの意気込みが重要だと思います。

単にわからないことを質問できるとか、レポートの時に助けてもらえるというだけではない、学生同士の関係性や絆も、MBAの学びから得られる貴重な資産の一つになります」

――学びたいことが見つかったら、「授業を受ける」だけではもったいない。特に、社会人になってからMBAなどの大きなテーマに挑戦するならば、クラスメートとの交流や対話、参考になりそうな読書など、学習に繋がりそうな事の全てに積極的に取り組み、日々徹底して学びつくしてほしい――。石川先生は最後にそうアドバイスをくれました。

"オンライン放課後"にはなるべく"居残り"を心がけるなど、仲間との交流の機会をつくること。そしてオンラインでも、会話や表情を通じて、オープンな気持ちを伝える努力をすること。少しの積極性と意欲の積み重ねが、人とのつながりを含めたオンライン学習の価値を最大限に引き出してくれそうです。

Written by : ヒューマンアカデミー "オンライン放課後" 取材班

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