STEAM教育
東京大学の安田講堂が熱狂!「第16回ヒューマンアカデミージュニア ロボット教室全国大会」開催レポート
ヒューマンアカデミージュニア主催の「第16回ヒューマンアカデミージュニア ロボット教室全国大会」が今年も東京大学の安田講堂で開催されました。
熱狂の東大安田講堂!未来の天才クリエイター37名が集結
2026年8月22日、東京大学の安田講堂は、若きクリエイターたちの熱気と歓喜に包まれました。開催されたのは「第16回ヒューマンアカデミージュニア ロボット教室全国大会」。全国の予選審査を通過した未就学児から中学生までの選ばれし37名の精鋭たちがこの歴史ある舞台に集結しました。
AIをはじめとするテクノロジーの進化が加速し、教育の現場では「STEAM教育」や自ら問いを見つける「探究的な学び」がかつてないほど重視されています。なぜ今、子どもたちのロボット作りが熱いのでしょうか。子どもたちが重ねてきた「試行錯誤のプロセス」そのものが、変化の激しい時代を生き抜くための核心的な能力であることを証明していたからです。会場の来場者やオンライン配信(YouTube)で応援する観客全員に個性豊かなロボットたちが大きな感動と興奮を与えました。
当日の会場の熱気、注目の特別コラボ競技、最高賞MVPの発表から感動の表彰式まで、大会を詳しくレポートします。
開場と同時にあふれる緊張と熱気!真剣な眼差しで挑む最終調整
会場となった東京大学の安田講堂は、開場と同時に全国から集まった37名の出場選手とそのご家族の熱気に包まれました。競技開始前の調整時間では、真剣な表情でロボットの微調整やプログラム確認を行う子どもたちの姿が見られ、その眼差しはまさにプロのクリエイターそのものでした。


この大会は、アイデアと創造力を競うアイデアコンテストと、ロボットの正確性や技術力を競うテクニカルコンテストの2部門で実施されました。

チョコボールを射抜け!森永製菓コラボ「流鏑馬バトル」で奇跡の神業が炸裂
今年のテクニカルコンテストのテーマは、日本の伝統技法である「流鏑馬(やぶさめ)」。
さらに今年は森永製菓株式会社との特別コラボレーションが実現!的に採用されたのはなんとあの「チョコボール」です。
ロボットを操縦して正確に的を射抜き、当てた分だけチョコボールを獲得できるという遊び心満載のルール「射抜いて天晴!ロボ流鏑馬」に、会場はどよめきに似た興奮に包まれました。
しかし、その遊び心の裏には卓越した技術的要求が隠されています。単に的に当てるだけでなく、「台を倒さず、チョコボールのみを落とす」という極めて難易度の高い「超あっぱれ」の条件が設定されていたのです。
このテクニカルコンテストで悲願の初優勝を目指すのは、大北涼介さん(中2)。第14回・第15回大会と2年連続準優勝(2位)を果たし、3度目の大舞台に挑みました。
結果として、敗者復活戦から勝ち上がった宮原律さん(小6)が圧倒的な集中力で一度のミスもなく全ての的を射抜いて優勝を飾り、副賞の「チョコボール1年分(365個)」を手にしました。
「おく病だけど危険?」MVPに輝いたサソリロボットの驚異的な二面性
テクニカルコンテスト・アイデアコンテストの本戦出場者37名の中から、今年最も優れた出場者に贈られる最高栄誉「MVP」に輝いたのは、愛知県・東山公園教室の小舟戸堅斗さん(小5)の作品『おく病だけど危険なサソリロボット』。昨年第15回アイデアコンテストのミドルコース最優秀賞に続き、見事な2年連続受賞という快挙です。

小舟戸さんの作品が審査員を驚嘆させたのは、生物の複雑な生態を「機構」と「プログラミング」で見事に融合させた点にあります。脚6本ではなく、脚が8本あるクモ型のサソリを再現するため、パーツ不足を補う工夫を凝らし、内側のギアをスライドさせる独自のメカニズムを構築。これにより、音に反応して「おく病に後退する」動きと、我慢の限界を超えて「毒針で反撃する」という二面性を見事に表現しました。
プレゼンテーションでは、「本当に逃げるのか確かめてみたいと思います」と会場に呼びかけ、来場者が一斉に「わっ!」と声を上げ、サソリを驚かせるオリジナリティあふれる演出を披露。逃げ道を失い、毒針で攻撃する仕掛けも実現しました。単なる「強いメカ」ではなく、ストーリー性を持ったコンセプトが会場を沸かせました。
審査員からも「"おく病"と"危険"という表裏一体のコンセプトの着眼点、それを実現するメカニズムの完成度が極めて高く、文句なしの素晴らしい作品」と高い評価が寄せられました。
失敗こそが「最強の学び」である ロボットクリエイター高橋智隆先生が語る「生き抜く力」
大会の中盤には、本大会の審査委員長でありロボットクリエイターの高橋智隆先生(株式会社ロボ・ガレージ代表取締役)による特別講演が行われました。その中で「試行錯誤」の重要性を説きました。高橋先生の言葉は、現代の教育において何が最も欠けているかを鋭く突いています。
「ロボットづくりは単なる組み立ての作業ではありません。どうすれば思い通りに動くのか、なぜ失敗したのかを自ら考え、試行錯誤しながら解決策を探す過程で、『問題解決能力』や『主体性』が自然と身につきます。失敗を乗り越えて完成させた体験こそが、将来どんな道に進むにしても、子どもたちの大きな糧となるのです」
予測不能な時代において、正解を暗記するのではなく、失敗というデータから解決策を導き出す能力こそが、子どもたちにとって一生モノの武器になるのです。
高橋先生の言葉に、保護者の皆様も深くうなずきながら耳を傾けていました。さらに講演後には、高橋先生が手掛けた最新ロボットのデモンストレーションも披露され、『ロボットが友達になる未来』を予感させるその先進的なテクノロジーと愛らしい動きに子どもたちから歓声が響きました。
技術だけじゃない!個性が光るプレゼンテーションの進化
アイデアコンテストでは、未就学児から中学生までが、自分の作品へのこだわりを堂々と語る姿が印象的でした。特に、ハンカチ折り畳みロボットを披露した鈴村心瑠さん(小5)や、技術を磨き続けてきた3年連続出場の雪竹美伶さん(中1)ら女子選手の活躍は、ロボットの世界が多様な感性を受け入れていることを物語っていました。
単なるスペック紹介や技術の競い合いに留まらず、自分のロボットが「社会のどんな問題を解決できるか」「暮らしの中で誰かの役に立つためにどんな工夫をしたか」といった明確な目的意識を持ち、自らの言葉で熱弁する姿が印象的でした。技術力を超えた「問題解決への情熱」と「高い表現力」が加わった子どもたちのプレゼンテーションは、観客に深い感銘と未来への期待を与えました。
先輩や先生たちの発想に脱帽!夢がさらに広がる「エキシビジョン」
大会の後半には、出場している子どもたちや会場の全員をさらにワクワクさせる「エキシビション」が開催されました。
登場したのは、いつも全国の教室でロボットを教えている先生たちと、かつてこのロボット教室で学び、卒業していった先輩(修了生)たち。普段使っている教室のパーツなどを工夫して作られた「エキシビションだけのオリジナルロボット」をステージ上で実際に動かしました。 出場した子どもたちにとって、「いま自分がやっている勉強を続けていけば、将来こんなにすごいロボットが作れるようになるんだ!」という、一歩先にある大きな夢と憧れを間近で感じられる、とてもワクワクするデモンストレーションになりました。
ロボットは「道具」から「パートナー」へ
大会終盤、高橋先生が披露した最新のスマートフォンロボット「moby(モビー)」のデモンストレーションは、ロボットの未来図を鮮烈に描き出しました。この「moby」は、お持ちのスマートフォンの形をあえて崩さず、最小限のパーツ(車輪、カーボン製アーム、モーター)を取り付け、専用アプリで制御する仕組みです。スマホに数千円程度を追加するだけで、いつものスマホが軽快に動き回り、充電スポットに自動で戻ると愛らしい表情を見せる「ペット」のような存在に生まれ変わります。
審査員を務めたユカイ工学の青木俊介氏は、この光景を「トトロの世界」に例えて語りました。かつての「掃除を効率化する家電」としてのロボットから、天井の「まっくろくろすけ」のように、家の中に気配として溶け込み、人の心を動かすパートナーとしての存在へ。スマートフォンの進化が頭打ちになりつつある今、高橋先生は「moby」を通して、私たちの日常に寄り添い、共に生活を彩る「心を持った機械」との新しい未来を提案してくれました。
チョコボール1年分に歓喜!努力が実を結んだ最高の笑顔の表彰式
白熱した競技の後に訪れたのは、感動的な表彰式です。司会者が受賞者を発表するたびに、会場からは温かい拍手と大きな歓声が湧き上がりました。
アイデアコンテスト各部門の最優秀賞をはじめ、各賞の受賞者が呼ばれると、選手たちの顔には達成感あふれる最高の笑顔が弾けました。さらにテクニカルコンテストの入賞者には森永製菓様より副賞として「チョコボール365個(1年分)」が贈呈され、会場は大きな笑顔と祝福の拍手に包まれました。
アイデアコンテストMVP
受賞者:小舟戸堅斗さん(小5)
所属:東山公園教室(愛知県)
ロボット名:「おく病だけど危険なサソリロボット」
アイデアコンテスト 最優秀賞 プレプライマリー/プライマリーコースの部
受賞者:石部泰祐さん(年長)
所属:大塚教室(東京都)
ロボット名:「セキュリティハウスロボット」
アイデアコンテスト 最優秀賞 ベーシックコースの部
受賞者:稲熊陸さん(小3)
所属:大高青山教室(愛知県)
ロボット名:「はこべるクン」
アイデアコンテスト 最優秀賞 ミドルコースの部
受賞者:成田陽さん(小4)
所属:大高青山教室(愛知県)
ロボット名:「おしゃべりロボット ケンタロウ」
アイデアコンテスト 最優秀賞 アドバンスコースの部
受賞者:堀正佑さん(中3)
所属:熊本県教育会館教室(熊本県)
ロボット名:「ロボジェンガ」
テクニカルコンテスト 優勝
受賞者:宮原律さん(小6)
所属:倉敷中央教室(岡山県)
テクニカルコンテスト 2位
受賞者:岸本幹大さん(中2)
所属:岡山西大寺教室(岡山県)
テクニカルコンテスト 3位
受賞者:辻尾颯馬さん(中1)
所属:大高青山教室(愛知県)
試行錯誤の先に待つ、無限の可能性
安田講堂という歴史の重みを感じる場所で、堂々とした発表や成果を競った37名のクリエイターたち。彼らが培ったのは、ロボットを作る技術だけではありません。それは、たとえ思い通りに動かなくても、何度でも立ち上がり、原因を突き止め、より良い未来を構築しようとする「不屈の創造性」です。
今回、安田講堂で輝いた子どもたちが作る未来は、きっと私たちが想像もできないほど豊かで、驚きに満ちているはずです。私たち大人の役割は、彼らの「試行錯誤」という名の冒険を信じ、そっと背中を押し続けることではないでしょうか。
ロボット作りを通して培われる論理的思考力、創造力、そして忍耐力は、これからの変化の激しい時代を生き抜く上で不可欠なスキルとなるでしょう。今回の大会にご参加いただいた選手の皆様、そしてあたたかいご声援を送ってくださった保護者の皆様に、心より感謝申し上げます。
私たちヒューマンアカデミーは、これからも子どもたちに科学の驚きと感動を与え、楽しく夢中になって取り組む中で未来への可能性を育てていけるプログラムを提供してまいります。
【第16回ヒューマンアカデミージュニア ロボット教室全国大会】
URL:https://kids.athuman.com/robo/event/convention/2026/
【ヒューマンアカデミージュニア】
URL:https://kids.athuman.com/
レポート
牛島奈津子
フリーアナウンサー 元NHK長崎放送局、サガテレビアナウンサー、宮崎サンシャインFMパーソナリティ インタビューが得意で、ライターとしても活動。
保育士でもあり、都内の保育園に勤務している。
