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STEAM教育

【アドバイザーインタビュー】ノーベル化学賞北川教授の研究を支えた樋口雅一先生―「面白い」が子どもを動かす!「新しい発見をするのは君だ!」―

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 2026年5月31日、ヒューマンアカデミージュニアの科学教室「サイエンスゲーツ」による大人気イベント『サイエンスフェス 祝ノーベル化学賞特別編』が開催されました。今回は2025年に京都大学 北川進特別教授がノーベル化学賞を受賞したことを記念した特別なプログラム。世界が注目する最先端科学「MOF(モフ)」の秘密に迫るべく、渋谷の会場(GMO Yours・フクラス)とオンライン配信をあわせたハイブリッド形式で行われ、全国から約300名を超える幼児・小学生親子が参加しました。

第1部のクイズ企画から大いに盛り上がり、第2部の実験パートでは子どもたちが熱心にMOFの模型作りに挑戦!会場も画面越しも、未来の科学者たちの熱気と「ワクワク」に包まれた特別な時間となりました。

イベント終了直後、熱気冷めやらぬ会場で、ヒューマンアカデミージュニアのアドバイザーであり北川特別教授の研究を社会に届ける活動をされている樋口雅一先生にお話を伺いました。

300名の親子が集結!ノーベル化学賞記念『サイエンスフェス』を終え、樋口雅一先生が大切にしている子どもたちへの向き合い方

ー本日はイベントお疲れ様でした! 2年ぶりの開催、そして今回はオンラインとのハイブリッド形式でしたが、終えられてみていかがですか?

樋口先生: 楽しかったですね! オンライン参加の子たちも、ものすごく積極的に参加してくれたんですよ。画面に向かって「おーい」って呼びかけたら手を振り返してくれて...非常に楽しかったです。もちろん会場にいた子たちもものすごい熱量があって、いろんな問いかけに答えてくれました。とてもよかったなと思っています。

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ー会場でもオンラインでも、子どもたちが本当に楽しそうにしていたのが印象的でした。何か工夫されたことや、気を付けたことはありますか?

樋口先生: いつも通りではあるのですが、「否定することは1つもない」ということです。子どもたちが作ったものや、見つけたこと、言ったことはすべて受け取って、「面白いなぁ、すごいこと思いつくなぁ」と聞いて、見守っていました。

ーすべてを「いいね」と承認してくださるからこそ、子どもたちも自信がつくのでしょうね!そのように肯定されるのには、どのような想いがあるのでしょうか?

樋口先生: 僕から教えようと思えばたくさん教えることはあるのですが、やっぱり「子どもたち本人が自分で気づいて学び出すこと」が何より大事だと思っています。本人が気づくのが1番だと思っています。ですから、私がすることと言ったら、まずは「面白いな」と思ってもらうことに徹しました。

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基礎研究を社会の役に立つ形へ ノーベル化学賞・北川進教授の研究を支えた樋口雅一先生の歩み

ー改めて樋口先生のご経歴や、これまで研究されてきたことについて教えていただけますか?

樋口先生: これまで長く研究をやってきまして、基礎研究から、実際に社会でその技術が使われる「社会実装」の場面まで広く携わってきました。 それを眺めていて思うのは、まだまだ足りない部分もあるのですが、10年前に比べて、大学の研究成果を社会に届けるための準備が着実に整ってきているということです。実際に私が関わったものが世の中で使われる事例も出てきました。今後はさらに多くの方に知っていただいて、社会にお役立ていただけるようなお手伝いができたらなと思っています。 今日集まってくれたような今の子どもたちの中に、将来もしかしたら一緒に色々な研究をしてくれる子がいるんじゃないかなと思っていて、非常に楽しみですね。 もちろん、私と将来一緒にやらずに、別のことで面白いことをしてくれる子が出てくるのもとても楽しみにしています。

ー北川教授のノーベル化学賞受賞についても今日はお話をたくさんいただきました。研究をご一緒にされてきて、改めて今どのようなお気持ちですか?

樋口先生: この研究(MOF)が世に出てから、もう30年近くが経つんですよ。それだけ経って、やっと世の中に出せるような状況になってきたなという風に思います。 実は、大学で研究されている物質や成果が、実際に世の中に出ていくことって、確率としては結構少ないんです。必ずしも世の中に役立つ研究をすることだけが、大学の使命ではありませんからね。だけど、僕は偶然、MOFが社会で役立てることが難しい場面に10年携わってそこに大きな面白さを感じて、取り組みを始めました。 もちろん、うまくいかないことばかりですから、やっぱり、それが面白い。そういう考え方もあるってことをお知らせしながら、これからも子どもたちと一緒に過ごしたいですね。

ー目の前で輝かしい賞を受賞される姿を見られて、感慨深いものがあったのではないでしょうか?

樋口先生: そうですね、感慨深いところもありましたけれど、あっという間の時間だったので、まだちょっと現実感がないのかもしれません(笑)。近くにいる先生がそうやって輝かしい賞を受賞されて。何より、北川先生が受賞後も何も変わらないので、実感が沸かないのかもしれません(笑)。本当の勝負はこれからなんですよ。MOFの基礎研究も社会実装もこれからどんどん発展することを期待しています。世の中にMOFをどんどん出していくということはまだまだ簡単ではないので、だからこそ「面白い」と思ってやっています。

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ヒューマンアカデミージュニアとの共創  子どもたちの「面白い!」を創る熱意あるパートナー

ー今日1日を通して「面白い」というキーワードがたくさん出てきましたね。今回、ヒューマンアカデミーと取り組みをされることになったきっかけや、今後どんな挑戦をしていきたいかなどの想いをお聞かせください。

樋口先生: ヒューマンアカデミーの皆さんは、やっぱり子ども教育に対しての「熱意」がありますよね。僕もその部分が1番大事だなと思っていましたので、そこで上手くご一緒することができて、今回のようなイベントも開催ができました。 今日はオンラインも含めて全部で300人くらいの子どもたちが参加してくれました。参加してくれた皆さんの中から、「新しいことしたいな」「面白いことしたいな」「変なこと考えたいな」っていう子たちがきっと出てきたのではないかと思います。また将来、彼らと一緒に何かができたらなと楽しみです。

AI時代こそ自ら試す!「自分が面白いと思うことの追求」 答えのない課題に挑むこれからの科学

ーAI時代が到来し、子どもたちを取り巻く環境も大きく変わってきています。今後、科学分野はどう変わっていくか、またその中で先生が挑戦されたいことは何でしょうか?

樋口先生: AIが出てきて、色々聞いたらすぐに答えにつながるようなヒントを教えてくれる時代になりました。しかしAIというのは、基本的には「これまで分かったこと」の中からヒントを導き出すものです。だから、そもそもAIが面白いヒントを出してくれることはあっても、代わりに試して新しい発見をしてくれるわけではありません。大切なのは、AIが出したヒントをきっかけに、自分自身で実際にやってみることなんです。だって、自分が実際にやってみた結果というのは、AIだってまだ知らないことですからね。ですから、AIを「自分が思いついたアイデアの確認」のために使うことはあっても、どれだけ時代が進んでも大切なのは、「自分がこれは面白いと思うことを、時間をかけて追求していくこと」なんです。 「これダメだったから次これ行こう」と簡単に諦めるのではなく、じっくりと「これが僕は面白いと思ってるんだ」「私がやりたいことなんだ」というものを見つけて、そこに情熱を注いでほしいですね。

私自身が今後挑戦したいことも、やっぱり自分が「面白いな」と思える「新しいこと」です。それも、特に「これは難しいんじゃないかな」と思うことに取り組みたいですね。その方がやりがいがあるじゃないですか。上手くいかなくて当然、でも上手くいったら最高に面白い。そういうところが僕は好きなので、これからの時間もそこに使っていきたいと思っています。 僕、変なこと言ってますかね?(笑)

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親子で体験するから学びが定着する 樋口雅一先生が伝えたい子どもたちへのメッセージ

ー私も2人の子を持つ保護者として参加しましたが、子どもとの向き合い方が変わりましたし、『ありのままでいいんだ』と思えて心が軽くなりました

樋口先生: あぁ、そう言っていただけると嬉しいです。実は、保護者の方に一緒に来ていただくのには強い想いがあるんですよ。子どもたちだけを集めて、会場で「わかった! 面白い!」となっても、お家に帰ってから親御さんに否定されてしまうと、そこで気持ちがリセットされちゃうと思っています。だからこそ、親子で一緒に来て体感していただくのが本当に大事だなと思っています。 僕も一応、3児の父親ですので、理想通りに思い通りに行かないのは分かっているのですが、やっぱり理想は持ち続けて子どもたちと向き合いたいと思っています。

ーこれから成長していく子どもたちに向けてメッセージをいただけますか?

樋口先生: 簡単に言うと、「新しい発見をするのは君」ということですね。 もちろん僕も頑張りますけど、今日、目の前で画面の向こうでキラキラしていた子どもたちには、やっぱり頑張ってほしいなと思ってここに来させてもらいました。 それに、これまでにない新しい発見が生まれることを期待したいですよね。僕の研究を使って何か新しい発見をしてくれるのもいいし、僕を全く使わずに新しい発見をする子がこれから出てきても全然いい。既存のネタにとらわれず、自分の興味が向くままに、子どもたちには、自分の興味や好奇心を大切にしながら挑戦してほしいと思います。

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ー樋口先生、本日は温かく熱いメッセージを本当にありがとうございました!

樋口雅一先生 プロフィール

樋口先生profile.jpg1999年、京都大学工学部工業化学科卒。2005年、同大学院工学研究科分子工学専攻 博士課程修了。博士(工学)。理化学研究所研究員、東京大学特任助教などを経て2010年から京都大学アイセムス(高等研究院 物質―細胞統合システム拠点)特定助教、アイセムス解析センターマテリアルズ部門責任者兼任。

京大発の新規材料の一つである多孔性配位高分子(PCP/MOF)の研究経験をもとに、2015年、京大発スタートアップ企業 株式会社アトミス(Atomis)を創業。幼稚園児から80歳超までの方々を対象にクイズ形式の講演会を全国で実施し、ラジオ・テレビなどのメディアでも科学や学びなどの情報を発信。

取材・執筆
長崎真友子
株式会社Cheering代表取締役 元九州朝日放送アナウンサー

声と言葉で笑顔広がる世界を100名超の元放送局アナウンサーや理念に共感する地域創生共同体を結成し、広報・PMの立場から社会課題解決に取り組んでいる。ファミリースピーチアカデミー主宰でもあり、話し方、スピーチ、ゲームを通して子どもからシニアまでの表現力教育に携わっている。2児の母。

ヒューマンアカデミージュニア サイエンスゲーツとは?

身近な科学現象をテーマにした様々な科学体験を通して、
子どもが理科や科学を好きになり、好奇心や探究心を育むことができる科学実験教室です。
STEAM教育と呼ばれる「科学、技術、工学、教養/創造性、数学」を統合した教科横断的な学びを提供します。
サイエンスゲーツではSTEAM教育の考え方を取り入れ、知識だけではなく様々な科学体験から子どもたちの「生きる力」を育みます。
ヒューマンアカデミージュニアサイエンスゲーツ:https://kids.athuman.com/kagaku/
※全国で教室を展開中。無料体験授業も実施しています。お近くの教室検索やカリキュラム詳細は上記リンクよりご覧いただけます。

ヒューマンアカデミージュニアサイエンスゲーツ「サイエンスフェス 祝ノーベル化学賞特別編」
ヒューマンアカデミージュニア: https://kids.athuman.com/


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