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ヒューマンアカデミーが推進する "学びのDX"とは? 川上社長に聞いた、改革の狙い

2021年より、ヒューマンアカデミーは社内外に向けて「学びは、面白い。」というキーフレーズを発表しました。そして今、「学びの面白さ」を創造する "Edutainment Company" として、独自のGIGAスクール構想に基づく"学びのDX化"を推進しています。サービス等の枠組みから学習のカリキュラムまで、総合的なDX化を進める狙いと具体的な取り組みについて、川上輝之社長に聞きました。

PROFILE

ヒューマンアカデミー株式会社 代表取締役 川上輝之(かわかみ・てるゆき)
1994年ザ・ヒューマン株式会社(現ヒューマンホールディングス株式会社)入社。同グループのヒューマンプランニング株式会社代表取締役、ヒューマンビジネスサービス株式会社取締役、ヒューマンアカデミー取締役、株式会社ウェブスマイル(現ヒューマンデジタルコンサルタンツ株式会社取締役等を経て、現職。

"学びの面白さ"を創造し、新たな社会の実現へと向かう

近年、IoT、人工知能(AI)、ビッグデータ、ロボット、ブロックチェーンなど、先進技術を活用した新たな社会「Society5.0」の実現に向けた、官民による取り組みが進んでいます(※)。皆さんも仕事や生活の面で、これらの技術の貢献度や重要性を感じることが増えてきたのではないでしょうか。
(※内閣府 https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/

私たちヒューマンアカデミーも、このような社会の流れを教育・学習の側面から推進するため、昨年から独自のGIGAスクール構想に乗っ取った、"学びのDX化" の実現に着手しています。私たちが多くの皆さんに提案している、「学びは、面白い。」というビジョンをさらに促進する上でも、欠かせない取り組みであると考えています。(https://manabu.athuman.com/about/)。

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ICT(情報通信技術)を駆使することで、子どもたち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育むための教育を実現する」。これが、文部科学省が目指す、学校教育におけるGIGAスクール構想の概要ですが、私たちヒューマンアカデミーも、学びのDX化をはかることで、学習者一人ひとりにとってよりよい "学び"そして"面白さ" を創造していきたいと考えています。

DX化を通じて、個々に最適化されたスムーズな学びを実現

学びのDX化を実現するために、ヒューマンアカデミーではデジタル戦略を推進し、教育サービスの手法の変革に取り組んでいます。

講座や教材といった商品のデジタル化に加え、全国のスクールなど、オフライン拠点も活用した"ハイフレックス型(※)"の学びを可能にするための、サービスの深化を推進しているのです。
※対面、リアルタイムでのオンライン、アーカイブなど、選択できる授業形態を指す。

商品のデジタル化については、オンラインの学習動画の高品質化とその活用に力を入れています。ヒューマンアカデミーでは良い講師・一流講師によるカリキュラムを提供していますが、「動画が古くてポイントがつかみにくい」「見たいときに見られない」といった、受講のストレスも解消していきます。
商品として常にアップデートしていくことで、どんなデバイスからも見やすく、やる気の途切れない学習につなげることが大切だと考えています。

5Gの普及を見越して、20212月には中核を担う自社スタジオ「Human Edutainment Studio」(新宿区)もオープンさせ、公開授業の配信やセミナー収録などを増やしていくことも可能にしました。

このスタジオでは、教材や授業の撮影から編集、公開まで、高クオリティかつ素早く提供できるよう、アセットを全て自社で賄うことができます。題材や配信の内容に合わせて使い分けられるよう、セットや背景を取りそろえ、講師やスタッフが発信しやすいよう、個別配信ブースやミーティングスペースなども完備しました。

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オフラインにおけるサービス面も変わらず重視しており、例えば、全教室のWi-Fiと一人一台のPCを整備するなどして、「いつでも、どこでも、何度でも学べる環境づくり」を進めています。

リアルな拠点が全国にあるからこそ、その場所にいるスタッフが受講生一人ひとりをさらに丁寧にサポートしていけるような体制を整え、ヒューマンアカデミーの強みである"面倒見の良さ"をデジタル化にかけ合わせていきます。
教室ではエントランスの雰囲気やファニチャーなどにもこだわり、"学び×空間づくり"も重視していますので、ぜひご活用ください。

2022年4月からはさらに仕組みを進化させ、受講生一人ひとりに寄り添うプラットフォームの提供をスタートさせる予定です。これは、より確実でリッチな学びのためのコミュニケーションを、オンライン上でも充実させるための試みです。

具体的には、目的とレベルに合わせた弱点の分析や、不足している学習内容などが把握できるようにパーソナライズされた仕組みを提供していきます。また、スタッフへの相談や問い合わせなどに対する利便性も向上させ、"デジタルで面倒見のよいサービス" をお約束します。

スタート後もアジャイルで改善していくことによって、皆さんが求める以上の仕組みを提供していきたいと考えていますので、楽しみにしていてください。

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学びのDX化を進めることで、これまで以上の資格等への合格率アップや、講座修了時の学習レベルの向上はもちろん、コミュニケーションのさらなる創造と充実につなげていきます。
並行して、社内の業務に関しても、間接業務の削減や業務フローの見直しによる工数の抜本的な削減などを通じたDX化を進め、社員全員がお客さまと向き合う時間を増やしていくことを目指しています。

「学びたい!」と思ったとき、いつでもスムーズに学習に臨んでいただき、学ぶ楽しさをより実感していただけるように、ヒューマンアカデミー全体で邁進していきたいと思います。

実社会で活きる、主体的で横断性の高い学びを養う

ヒューマンアカデミーが推進する学びのDX化は、商品やサービスといった枠組みのみに留まりません。大人が生涯を通じて学び続ける「リカレント教育」、そして、子どもがより良く生きるための教育手法「STEAM教育」の実現など、学びの内容や手法に関するアップデートにも力を注いでいます。

「リカレント教育」は、大学や高校などの学生時代を終えた後に学ぶ機会を指しますが、"大人の学び"は年代ごとに学びの目的や意味が異なってくると考えています。

例えば、30代であれば大学や高校卒業から約10年。これまで同様のやり方やスキルに疑問や違和感を持ち、自分の力を試したくなる時期でもあるのではないでしょうか。その際に必要な知識やスキルを得るための"学び直し"が必要になると思います。
また50代であれば、これまで自分なりに成長してきた経験や知見を活かして、何か新しいことを学び、挑戦する、また、人間の幅や大きさを広げる教育が求められるなど、その視野はステップアップだけに留まりません。

リカレント教育を重視し、強化していくことで、広く浅くでも「これまでと違った新しいことを学びたい」「時間をかけて何かを身につけたい」といった意欲につなげること、またそこで得られる人との出会いが、学ぶ人を"生涯現役"へと導くような取り組みを行っていきたいと考えています。

さらに、子ども向けの「STEAM教育」は文字通り、SScience)、TTechnology)、EEngineering)、MMathematics)にAArt)を掛け合わせた、探究型・プロジェクト型の教育のことです。世界中の教育改革の場で重視され始めたコンセプトとして、近年注目されています。

狙いは、生活や実社会で活かせるような、知的創造力を高め、子供たちの「好き」から「得意」を育てること。実際に「ヒューマンアカデミージュニア STEAMスクール」では、ロボット教室を始め、プログラミング教室、科学教室、さんすう数学教室など、教科を横断的に学べるカリキュラムを提供しており、「教科別」「詰込み型」といった既存の学習法とは一線を画す成果が表れています。

立ち上げから13年目を迎えた「ロボット教室」などは、特に各方面からの高い評価をいただいています。先日行われた「ロボプロ全国大会」にも、本当にレベルの高い作品ばかり出展され、すぐにでも実社会で活躍できそうな中高生が育っていることを頼もしく感じました。

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実際に、学習や生活、仕事などの面で生じる課題に向かう際にも、学術性を横断した思考は不可欠でしょう。STEAM教育を芯とした学習は、今後の不透明な時代を生きるために必要な "主体的に学び続ける力"を養ってくれます。

講師や仲間と相談して実現度を探り、オンライン・チャット・ライブホームルームなどのICTをフル活用しながら、身につけた知識や技術を総合的に生かし、発想から実現まで落とし込めるようになる――。大人向け講座・子ども向け講座、それぞれで培ってきたノウハウをもとに、受講生一人ひとりにそのような力がつくような改革を行っています。

関連記事:DXどうなってる? ITデジタル企画推進室が語るイマ【後編】室長、後藤の場合

継続やプロセス上の全てが"学びの価値"になる

DX化を通じて、学びの楽しさや自らのポテンシャルを引き出すことに成功したとしても、その過程には輝かしいストーリーばかりが待っているわけではありません。誰しも、難しくて理解が進まないとか、思い通りにステップアップできないなど、壁にぶつかるタイミングはあるはずです。

しかし、"学びの価値" は、成績や結果だけが示すものではありません。試行錯誤や小さな変化、周囲の人々とのコミュニケーションなど、継続とプロセス上の全てが価値であり、ある種の目標にもなりうるものです。

どこかでつまずいたとしても、全てを自分で解決しようとする必要はありません。先生からのアドバイスや、仲間との対話によって乗り越えていくことが、きっとできます。私たちもできる限りのサポートをしますし、後に振り返ったときには、全てが「よかった」と思えるはずです。

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小さなマイルストーンを自分の前に置き、それを目指していく楽しさを、私自身も大事にしています。例えば、実はここ数年、週2回のランニングを実践していますが、継続していくうちに「始めてよかった」と感じる機会がどんどん増えてきました。

走れる距離が伸びて、成長を実感できる瞬間があり、ランニング仲間が増えて、トレーニングとしてのレベルも少しずつ本格化してきました。新しいコースを考えることや、走りながら街を観察すること、マラソンアプリのログが増えていくこと......それから、帰りにみんなで銭湯に立ち寄って汗を流すことも、楽しみになっています(笑)。そうした活動を通じて、私自身も"学びの面白さ"を改めて実感しています。

ヒューマンアカデミーで様々な学習に取り組む皆さんからも、「学びを継続するうちによい先生や仲間に出会えた」「自分の人生とっていい時間になった」という感想をいただく機会があると、本当に嬉しくなります。

学びのDX化を通じて、その声をさらに大きく、増やしていけるよう、これからもスタッフとともに会社を創り上げていきたいと考えています。

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TEXT:「ヒューマンアカデミー プレジデント」取材班
※取材時は入念な感染予防策を実施し、撮影のみマスクを外して行いました。

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