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日本語教育事業部 戦略室長 山内宗之が考える「withコロナ」への対策

 2020年度はコロナによって大きな時代の変化がありました。まだ収束が見えない状況ですが、ニューノーマルを取り入れて、共存していかなくてはなりません。この記事では、日本語教育事業部 戦略室長 山内宗之(マネージャー)が考える、日本語教育事業部のwithコロナへの対策について紹介します。

 私が初めて新型コロナウイルスを知ったのは、2019年11月頃でした。当時、日本語学校(東京校)の事務局長であった私は、その話題をニュースで見かけ、現地にいらっしゃる日本語学校で勉強をしている学生の親御さんへの影響を少し気にかける程度でした。ほどなく、学生の不安の声が日本語学校の各校舎、各教室からきこえてくるようになりました。2020年1月頃、学生の不安の声が大きくなり、日本語学校(東京校)は、他の日本語教育機関に先がけて休講措置をとり、その後オンラインでの授業の実施を始めました。日本語学校各校舎の全教職員が、日々対応におわれていきました。

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 2020年4月、日本でも緊急事態宣言が発せられ、さまざまな情報や憶測が飛び交いました。何が正しい情報かわからず、ネットでは「コロナファクトチェック」なるサイトも出てくるほどでした。新型コロナはパンデミックであると同時に、世間でも言われているように、「インフォデミック」の要素も非常に高かったのではないかと感じています。情報がととのったかたちで、権威や統制元から一括発信されるのではなく、不確実性をおび、統一見解をもたないままに多方で同時双方向に行き来し、何が正しい情報なのかわからないままに世界中が不安を抱えながら解決を求められる、そんな状況に強制的に入っていったのではないかと感じています。

 新型コロナ流行初期においての日本語学校各校舎での対策・判断は、どちらかの意見をとれば、どちらかの意見に沿えなくなるという局面が何度も発生しました。それぞれのコロナの受け入れ方・考え方が、両極端(例:通学を続けたいorオンラインで授業を受けたい)に分かれていました。トレードオフがつねに発生している状況で、何を採用するか、短い時間で検証し、実行することが求められました。

 20214月現在、すでに新型コロナの変異型も確認されていますが、他の脅威発生の可能性(気候変動の影響により、昨年夏に米国テキサス州で人体に影響を及ぼすバクテリアが発生した例など)もあり、状況は長期化することも想定されうる中、将来に向けては下記のような総合的な対策が必要であるのではないかと考えております。

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学習者・顧客ニーズ

 日本語教育における顧客ニーズは元来多様ですが、コロナとともにある中では、それがさらに分岐をした形で現れました。例えば、日本語学校では「通学を続けたい」「通学は避けたい」という、相反する声がきかれました。アンケートをとるなどして、それぞれのニーズに極力沿った形でのサービスを提供することが課題となります。コロナ禍では、顧客ニーズが通常以上に見えにくくなることが多いため、さまざまな切り口からニーズの調査ができる環境を整えていく必要があると感じています。

教育・授業・サービス提供方法

 すでに多くの大学で採用をされている「ハイフレックス授業」を展開し、留学生・生活者への日本語の授業を実施しています。今後の展開として、コンテンツの量の充実と、内容の充実(授業の内容を楽しくするエンターテインメント化)、そして海外への本格導入のための準備をすすめております。

 また学校からの適切かつ定期的な発信は、たとえ些細であたりまえなこと(たとえばマスク着用のような防疫対策など)に関するものであったとしても、学生やその親御さんをはじめとする、さまざまな関係者の不安の軽減につながります。

社会・組織・個人

 今後、現在の状況がさらにつづけば、業界の構造の変化に伴い一定の人材流動も進んでいくものと予想されます。かさねて2030年までに、あらゆる分野でのコンバージェンス、技術革新が起きると予想されていますので、雇用範囲は新たに拡がっていくものと推測されます。

 そのような中では、つねに物事をトレードオフでとらえ、アンビバレンスに思考をしていく必要があると考えています。そのうえで、前向きな側面にふれ、自身や組織のありたい姿を想像し続ける、そして行動にうつしていくことが、今後の変化が加速する社会で生き抜いていくためには、必要なのではないでしょうか。

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 新型コロナは、人類の課題を浮き彫りにし、前進していくためのきっかけでもあるのではないかと個人的には考えています。世界で加速するSDGsの動きも、これにそった課題出しととらえることができます。コロナをきっかけに、世の中の変化はさらに加速してきております。何よりの対策は、思考と試行を止めずに物事を偏りなく受け止め(※日々是素直)、過去のデータや歴史を参考にしつつも捉われすぎず、現状をトレードオフでとらえ、考え、適応をしていき(※生涯是勉学)、未来に気持ちの良い期待をのせて(※万事是陽想)、日々の取り組みをしていくことではないかと考えています。

※ヒューマングループの企業理念・行動指針になります。

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事業部・役職名は2021年4月27日現在になります。

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