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STEAM教育

【大学生・高専生に聞く】プログラミング教育にふれて良かったことは?

 2020年度から小学校で必修化されたプログラミング教育では、物事を順序立てて、試行錯誤を繰り返しながら考える「プログラミング的思考の向上を目指すこと」が、主なねらいとされています。しかし、プログラミング教育のメリットはそれだけではありません。今回は、プログラミング的思考を養う習い事として、「ロボット教室を卒業した先輩」へのインタビューを通して、プログラミング教育のメリットを探ります。

「モノづくりへの挑戦意欲が進路を決定させた」

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大阪大学工学部地球総合工学科 前田さん

Q. ロボット教室でのエピソードを教えてください

A. ロボット教室と出会ったのは、小学4年生の6月頃です。私は小さい頃からものづくり的な遊びが好きで「ロボット?え?作れるの?」という驚きから通い始めて、「自分で作ったものが動く!これは楽しいぞ!」と、どんどん夢中になっていきました。作ったロボットがうまく動かずに苦労することもありましたが、先生と試行錯誤を繰り返しながら考え、自宅でも何度も組み立て直したりしながら解決した時には大きな達成感があり、小学生ながら「難しいものに取り組むのもなかなか楽しいな」と思っていました。

Q. ロボット教室でのプログラミング教育でよかったと思えることは何ですか?

A. ロボットを作り上げた時の「達成感」、コンテストを通して人と競い合うことの「プレッシャー」など、たくさん経験しながら、自分で学んでいくなかで自信を持ちました。

Q. 現在、前田さんは大学でどのような勉強をしているのですか?

A. 将来は理系の仕事、特にものづくりに携わりたいと考えており、「もっと規模の大きいものを製造したい!」と。つまり「建築」などへの興味が出てきました。現在通っている大阪大学の工学部地球総合工学科では、「建築・土木、海洋開発や造船」など魅力的なものづくり分野について学んでいくことができるので、基礎科目の数学や物理を学びながら将来に向けて進んでいきたいと思っています。

「どんどん考えて、試すことが自発的な進路選択に」

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国立明石工業高等専門学校神馬さん

Q. ロボット教室でのエピソードを教えてください

A. プログラミングの知識がない状態でロボット教室に通い始めましたが、「難しい」というよりも「やりたい!」という気持ちの方が大きかったです。教室に入ったタイミングが違うと、同じ学年でも私より進んだことをやっている子もいます。彼らの作っているものを見て、「私ももっと先のことをやりたい! これをやったらできるんだ!」とワクワクしていました。しかも、ロボットを作り終えた後、自分なりに「改造」できるのも楽しかったですね。

Q. ロボット教室でのプログラミング教育でよかったと思えることは何ですか?

A. ずっとロボットに興味があり、ロボット教室に通ったことで「もっと詳しくロボットを学びたい!」という気持ちが強くなったので、工業高等専門学校(高専)に進学しました。ヒューマンアカデミーのロボット教室やロボティクスプロフェッサーコース(ロボプロ)での学びは、高専でもとても活かされていて、「ロボプロでやっていたことはこういうことだったんだ」と、高専の授業を受けて改めて、自分が仕組みを理解できていたことに気付きました。

Q. 神馬さんは今後どんなことをしたいですか?

A. 将来は「ロボット開発」に携わりたいと思っています。私がロボットに興味を持ったのは、テレビを通して東日本大震災の被災地で救助活動をしているロボットを見たことがきっかけです。災害現場で活躍できるようなロボットを新しく開発できたらいいなと思います。ロボットは、ほんのちょっとのアイデアでいろいろなことができるようになります。そう考えるとロボットの可能性って無限大。「人の手助けができるロボット」を設計・製作できるようになりたいです。

2人のインタビューから、技術的な能力だけでなく、やりたいことに向かって自発的に取り組む「挑戦意欲」や、自分の進路を含めた「意思決定力」が育まれていることが分かります。

また、興味深いデータとして、2018年に神戸大学と同志社大学が国内2万人に対して行ったアンケート調査(注1)があります。その調査では「所得」や「学歴」よりも「自己決定」が人々の幸福感に強い影響を与えているという結果が出ています。自分で挑戦する、自分で決めるといった体験ができるプログラミング的思考を育む教育は、子どもたちの人生を「幸せ」なものにしてくれる可能性があると言えそうです。

※この内容は2019年~2020年のロボット教室の修了生インタビュー取材をもとに再編集しています。

(注1) 神戸大学「所得や学歴より「自己決定」が幸福度を上げる 」より

https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2018_08_30_01.html

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