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STEAM教育

「ロボット教室の生徒はどんな力が高い?」見えない力を測るテスト開発担当者にインタビュー

 学校教育機関や人材サービスなどで人や組織の特性を「見える化」するアセスメントは、研修やマネジメントなどでも活用されています。

 ヒューマンアカデミーロボット教室では、通学中の生徒たちの"見えない力"を測るアセスメントテストを実施しました。いわゆる「非認知能力」と呼ばれる、目には見えにくい能力を数値化することで、子どもたちが持つ「個性」や「得意」を見つけて、社会を生き抜くうえで基盤となる力を伸ばすことに役立ちます。

 この記事では、ヒューマンアカデミージュニア STEAMスクール 商品開発担当・吉良拡ジュニアマネージャーによる解説を通して、「ロボット教室の生徒が身につけている力」をご紹介します。

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生徒たちの「見えない力を測る」テストを開発したきっかけ

 ヒューマンアカデミーロボット教室は現在、全国で25,000名以上のお子さまに通っていただいています。教室での子どもたちの様子を見ると、大好きなロボット製作に目を輝かせながら取り組んでおり、本当に心から楽しんでいただいている様子がわかります。一方で、お父さま・お母さまからは、「子どもが楽しく通っているのはよく分かるのだが、ロボット教室に通うことで、子どもにどのような能力がついているのかが分かりにくい」というお声を以前から多くいただいていました。

 子どもたちを多面的に捉えて一人ひとりの力を伸ばすためには「やり抜く力」や「気付く力」、「人と関わる力」など、目には見えない「非認知能力」と呼ばれる力が非常に重要です。そのような、テスト形式では測ることのできない能力を、それぞれの子どもたちの中に見つけてあげることができたら、と考えたのです。

 そこで開発したのが、「ロボット教室アセスメント」です。アセスメントとは、少し難しい言葉ですが、対象になるものの状態や状況を様々な視点で評価することをいいます。

実施した第1回アセスメントテストで分かったこと

 ロボット教室アセスメントは、2020年夏にモニタリング調査を終えました。そしてその結果を踏まえて、202012月から20212月に第1回が実施されました。その結果、ロボット教室に通われている子どもたちの「非認知能力」について様々なことが分かりましたが、特に我々が注目したのは、ヒューマンアカデミーのロボット教室に通うほとんどの子どもたちの「意欲」が非常に高い、ということです。

 これは非常に良い結果であると言えます。というのも、「意欲」が高いことは、それ以外の能力を伸ばすすべての基礎になるからです。つまり、「意欲」が高ければ「自己肯定感」や「やり遂げる力」などその他の非認知能力の向上にもつながりますし、「ロボットの知識」を通じて身につく学習知識(認知能力)も、ロボット教室に通う中で自ずと伸びていくことが期待できます。

 さらに、日々の教室の授業で、「意欲」の高い子どもたちどうしが良い影響をおよぼしあってさらに個々人の能力を伸ばすことにもつながるでしょう。「朱に交われば赤くなる」と言いますが、まさにロボット教室に通うことは、「志」が芽生え始めている子どもが多く集まる、子どもが伸びるためのとてもいい環境に身を置くことにつながるのです。

 ロボット教室は、子どもたちの「やりたい」という真っ直ぐな気持ちを大切にしてきたからこその結果だと実感しています。

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テスト実施にあたり工夫したこと

 今回のアセスメントでは、お父さま・お母さまにみていただく「結果票」にもこだわりました。普通、何かの実力テストや入学試験の模試などでは、テスト結果が点数表示されたり、偏差値が出たりします。しかし、点数表示をしてしまうと、子どもの「できた」ところよりも「できなかった」ところに目が行きがちです。また、偏差値も他の子どもと比較した相対的な評価になってしまいます。

 私たちのアセスメントでは、そうではなく、子どもの得意な部分にフォーカスすることで、子どもがポジティブに自身の能力を捉え、それをさらに伸ばそうとする気持ちを高めるように工夫を凝らしています。結果票をお父さま・お母さまと子どもが一緒に読めば、「あなたは、こういうところが得意なんだね」と子どもの得意な部分を具体的にほめる場が自然と生まれることにもつながるよう、ネーミングも含めて意識して開発しました。

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最後に

 今回は、第1回目が実施されたことで、子どもたちの「意欲」が高いことが分かりました。今後もこのアセスメントを継続していくことで、ロボット教室に通うことで伸びる子どもたちの能力について、さらに様々なことが分かってくると思います。また、アセスメントに「非認知能力」を評価項目として加えることで、それぞれの子どものいいところ、得意なところを多面的に捉えることができると考えています。

 何よりも、お父さま・お母さまが子どもの得意な部分を知り、そしてほめてあげる、そういう機会を増やすことにもつながります。そうした親子の会話が、子どもたち一人ひとりの能力をさらに伸ばすきっかけになればと思っていますので、今後も良い循環を生んでいけるように開発を続けていきたいと思っています。

※事業部・役職名は2021510日現在になります。

※本記事は「ヒューマンアカデミーこども教育総合研究所」に掲載された記事を一部再編集しています。当サイトの内容、テキスト、画像、イラストなど無断転載・無断使用を固く禁じます。

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